MENU

※私は専門家でもコーチでもありません。自分のテニス上達のために色々と考え、試し、それらをブログに書いているだけの者です。そもそも会ったことも自分のテニスを見せた事もない者の話を鵜呑みにするのåは危険です。ここで書く内容も単なる情報。理解も解釈も読む方にお任せするしかありませんし、同じ理解をしていただける自信もありません。間違いもあるでしょう。普段からテニスを見ているコーチに相談される方が絶対に良いです。なにかしら試される場合でも怪我等なさらないようご注意ください。

我々のテニスが上達しない3つの理由

「テニスがなかなか上達しない」と考える人は少なくないでしょう。

YouTube等でも日々提供され続けるテニス動画、上達のための情報。色々試しているけど効果が実感できない。次々探しながら数年経っている。そんなケースが殆どではないでしょうか。媒体が本や雑誌からDVDになり、ネット動画になり、分かりやすさは増した反面、なかなか効果が出ない状況は改善されていない気がします。

あくまで個人的にですが「テニススクールでレッスンを受ける我々のような人達のテニスが上達しない理由として大きい要素として以下の3つの前提の欠落がある」と考えています。

3つの欠落

  1. 「自分のテニスを上達させるのは結局自分自身だ。コーチや周りの人達ではない」という理解の欠落
  2. 「テニスは相手とするものだ」というテニスの前提に関する認識の欠落
  3. 「ボールが飛び、回転がかかるのはエネルギーが加わる事で起きる物理現象だ」という前提となる理解の欠落

重要な点は、これらが「ボールの打ち方等の”問題ではない」という点で、これが「ボールの打ち方の動画を見て練習をしているのに “テニスは” 上達しない」という話に繋がります。

※繰り返しますが専門家でもコーチでもない者が言う話です。「そんな事は無い」と思われるなら、ブログを閉じて構わずボールを打つ練習を続けてください。

1. テニススクールに通う

「成人がテニスを始まる際、唯一と言って良い選択肢がテニススクールだ」と思っています。

整備されたコート、たくさんのボール、コーチを含めた練習相手を1年を通して朝から夜まで自分の都合の良い時間帯で確保出来る。最近なら室内型の大型スクールが増え、天候や気温に左右にも左右されずに済みます。このような練習環境を個人で確保し続けるのはかなり難しいです。

tennis
image

同時に、テニスを教えるにはテニスが上手いとは異なる経験やノウハウが必要です。経験者のお父さんがお子さんに教える、テニスサークルの練習会に初心者が参加する。よく見る構図ですが、どちらのケースも「あまりの上達しなさ加減に教わる側、教える側、どちらともなく止めてしまう」結果しか想像が付きません。

スクール(学校)の名前が示す通り、教えるためのプログラムや手法、設備がきちんと整理、運営されているのがテニススクールという場だと思っています。

2. テニススクールに通っても “テニスは” 上達しない

「テニスが上手くなりたい」からテニススクールに通い始める、通い続ける方は少なくないでしょう。

ただ、皆が思う「テニススクールに通い、専門家であるコーチに習えば、かっこよくボールを打ち、試合でも良い所がみせられるのでは」というイメージが実現する人は居ないと思います。自分も含めて周りにも居ない。そして「テニスは難しい。そんな簡単には上達しないんだ」という話になります。(※)

image
image

※後述しますが上達出来る人は “自分で勝手に” 上達しています。「上達しない」我々にはそれがないという事です。

3. 出来上がるのはやたら強いボールを打つ初心者

テニススクールの指導では主に「手順としてボールの打ち方を示し、見本をマネさせる」という手法が取られます。

例えば「グリップはこう、横向きになって、足踏みして、ラケットを出して、ボールの下側から上に向けてインパクトしてまっすぐフォロー」みたいなものです。

確かに、ボールの速度や弾み方、ラケットを扱う感覚のない初心者、理屈の理解が難しいキッズ向けには有効な手法です。打ち方を伝え、マネさせる中で、レッスン参加者は「練習するほど上達する」感覚を得る。いわゆる「ボールを打つのが楽しい」状態ですね。

ただ、ボールを打てるようになり、初級、中級、上級のテニススクールでの認定は上がり、ボールを打つ技術、打っているボールの威力は格段に上がっても、我々の思考はこの初心者の頃と変わらないまま。言うならばやたら強いボールを打つテニス初心者の状態から変われずにいます。

実際、上級認定者でもレッスン中に見せるのは

  • 1ポイント取る間に2ポイント失っているのに何故か満足げ
  • 相手のミスショットを自分もミスショットで返すようなやりとり
  • 相手に強いボール、返されたら更に強いボール、無理ならロブしかない打ち合い
  • 何でポイントが決まったのか分からない。何となくポイントが決まり、何となく勝敗が決まる

そんな試合、そんなテニスではないかと思います。

4. 我々の言う「上達したい」は「上手くなったら良いな」でしかない

テニスに生活がかかっているプロ等とは違い、テニススクールに通いレッスンを受けているような我々は「バックハンドが苦手でも困らない」と本気で思っています。ネット近くでもワンバウンドさせてストロークで打つ、入らない1stサーブに入れに行く2ndサーブ。周りも皆そうなのだから改善する必要を感じない。

我々が口にする「上達したい」とは「分かっている人に “正解を” 教えてもらい、今よりちょっとでも上手くなれたら良いな」程度の願望に感じます。

5. 自分も周りも上達しないのは「上達する人が一抜けした残り」だから

どんな指導、どんなやり方、どんな環境でやるにしても結局、やるのは自分です。

自分も含めた周りを見て「上達しないのが普通の事だ」と思うかもしれませんが、自分でやれる人は “どんなやり方でも” 自分で結果を出してしまい、とうの昔に “一抜け” してしまっている。今、自分が居る『結果が出ていないグループ』に居ないのかもしれません。

ダイエット等でもそうですが『今までになかった画期的な商品』のターゲットは自分を含めた取り残された人達です。自分でやれないのでどれを試しても効果が出ない。

これが「YouTubeのテニス動画を見て練習しても上達しない」「テニススクールに通っても上達しない」話に繋がってくる。

やり方が自分に合っていないからでも、自分も周りも上達しないのはテニスが難しいから当然なのでもない。バックハンドで打てない、入れに行く2ndサーブを打っている現状が限界な訳もないと思います。

tennis

6. 自分のテニスを上達させるのは結局自分自身

個人的に自分のテニスを上達させるのは結局、自分自身。コーチや周りの人達ではないと強く思っています。

仮に世界No.1コーチにつきっきりで教わったとして、説明内容を自分が理解し、再現できないなら上達する筈もありません。

最近思うのは「プロや専門家ですら何年、何十年とかけてようやく得られた理解や感覚を直接教わるでも無く、短い動画を何回か見ただけで自分も出来るようになる」と考えてしまう事への疑問です。少なくとも彼ら、彼女らと近しい知識や理解を獲得した上で相応の時間をかけて自分でも試行錯誤した結果「こういう事かもしれない」と感じるようになるのかもと思います。

手間や苦労を敬遠する傾向。「自分で考え、調べ、試行錯誤してみる? 間違っていたら無駄じゃん。何のためのネットだよ。分かっている人に “正解” を聞いてそれをやるのが間違いないだろ。何言ってんの?」といった効率、タイパ、まとめ動画、ショート動画思考が分かっているつもりで理解出来ず再現もできない現状に繋がっている。

スポーツ界で実績を残されている方々が言われる

  • 新しいことを試しても効果が出なければ1日で止めてしまう。それはもう願掛けと同じだ
  • 俺より下の子が本気出して練習しない事を知っている。練習について来られず、正しい事を伝えても「伸びないんです」となる。本当にやるすごい努力家は自分で勝手にチャンピオンになっている。「上手くならないんです」と教わりに来るのはやらない奴。だから俺はコーチングしない。
  • 球数制限の話はあるが、ボールを投げずにコントロールは良くならない。人にアドバイスを受けても、試行錯誤を通して、自分なりのものにしていく課程は不可欠だと思う。
  • よく変化球の握りやリリースの仕方の話題になるが、皆ただ投げているだけだから「曲がらない」という話になる。自分が何で変化球を投げられるのかを分かっていればどんな握りでも同じ変化を出せる。

といったお話は「上達するか、しないか」という差をシンプルに示していると考えます。

image
image

7. 相手とではなく “ボールと” テニスをしてしまう (手段の目的化)

テニスは相手ありきのスポーツです。素振りや壁打ちはあっても、相手が居なければ練習も出来ません。テニスのルール自体が相手との試合を前提としたものです。

我々のテニスが上達しない理由として相手ありきのスポーツをやろうとしているのに相手とテニスをする術を磨こうとしない事が大きいと考えています。

Photo by Julian Schiemann on Unsplash

我々はテニスを始めたその日から「テニスの上達 = ボールを上手く打つ事」「テニスの練習 = 上手くボールを打つ練習」という刷り込みを受けてきていると言えます。

これには商売が絡む、情報を伝える側の都合が大きく、打ち方を説明してマネさせるのは簡単、戦術・戦略を説明して理解させるのは難しい。YouTube動画がボールの打ち方ばかり日々提供されるのは自然な流れです。テニススクールのレッスンでは毎回がダブルス関連の練習が中心でコーチも身につけてほしいと思っているのでしょう。ただ、我々はボールを打つ練習を好み、1球でも多くボールを打とうとする。コーチの説明も「理屈は良いから早くボールを打たせろ」という反応を見せます。

これはよく言われる手段の目的化に他なりません。

相手ありきのスポーツであるテニスにおいて相手とテニスをするという目的のための手段に過ぎない「ボールを打つ事」が我々がテニスをやる目的になっているのです。我々は日々、”相手と” ではなく “目の前のボールと” テニスをしてしまっています。

image

バッティングセンターで年間ホームランを取るご年配を指して「野球が上手い」とは言わないでしょう。相手チームとの勝敗を競う試合の場で活躍してこそ「野球が上手い」に通じる。時速150km/hを打つ練習をしても相手バッテリーは変化球ばかり、ストライクコースに1球も投げてこない。速球を投げる意味が無いからですね。内野ゴロに打ち取ったのに内野手がゲッツーコースに居ない。ファーストがカバーに来ない。当たり前の事を当たり前に出来ない。そんなチーム、選手が強い訳もありません。

8. ボールが飛び回転がかかるのは物理法則に基づく現象

我々は普遍的な物理法則の下で生活している。日常生活はもちろんテニスコート上でもそれは変わりません。意識しなくても、慣性やてこの原理、反動等を理解して使っているでしょう。

世界的なトッププロも始めたばかりの初心者も同じ物理法則の下、ボールを飛ばし回転をかけている。「ナダルは特別だからあんなボールを打てるんだ」等と “自分でも説明できない何か” 頼りで打ち方だけをマネしている事に何の妥当性も感じません。

ラケットとボールが接触した際のボールに加わるエネルギー量エネルギーが加わる方向性の条件が事象・結果としてのボールの飛びや回転を決めます。

インパクト時にラケット面が向いている方向に飛ぶようエネルギーは伝わるし、インパクト前後にラケット面の向きが大きく変わるより飛ばしたい方向に向き続けている方が自分が望む結果を得やすいのは道理です。

tennis
tennis
tennis

ボールをネット方向に飛ばすためにラケットを通じてエネルギーを加える方法は手や腕を振っても、身体のねじり戻しを使っても、体重移動や踏み込みを使っても構わないのです。

tennis
tennis
tennis

この「打ち方は何でも良い」は「好きに打て」という話ではなく、ボールにエネルギーを加える方法ありきでどう打つかが決まる。我々は相手とテニスをする (試合で相手に勝つ、負けない) という目的を達成する手段としてボールをどう打つかを考える訳ですからボールを打つ状況は相手との試合の場という事になります。

「フォアハンドストロークはこうやって打つものだ」という科学的根拠を伴わないイメージだけの取り組みでは、毎回違う体調や調子に左右され、同じ打ち方をしているつもりでも結果が違ってくるでしょう。調子が悪くなったら戻す目安がない。調子の良かった時の映像を見る?何の根拠もないなら一から感覚探しなのは変わりません。

テニスは確率のスポーツでもあり、「エースを取ったら2点」といったルールもありません。一発よりもミスしない事、威力よりもコントロール、相手とテニスをするための手段や選択肢を正しく認識し、使えるようになる事が重要だと思います。

9. 試合の場面を想定してやるから練習になる

レッスン中にコーチから「何で今、そこにそういうボールを打ったの?」と聞かれ、答えらなかったり、その場で考えて検討違いの言い訳を始めたりする方が居られます。コーチにはボールを打つ際の根拠が持てていない事が伝わっているのです。

相手ありきのスポーツであるテニスにおいて自分がボールを打つ際の根拠は相手と状況によって決まるのです。

「試合中のこの状況、どこにどういうボールを打ち、相手にどう返球させ、そのボールを自分はどこに移動してどう処理するか。そこで終わりそうになければその次まで」

球出しの「後は勝手に打ってね」なボールを好きに打って満足する。そんな練習を続けていて相手ありきのスポーツでテニスが上手くなる筈もないと思います。(周りに居なくても) 相手とどうテニスをするかと考えている “普通の” テニスプレーヤーは常にプレッシャーをかけ、相手に良い状態でボールを打たせないよう配球やタイミングも工夫してくるでしょう。

例えば、ダブルス平行陣で相手をサイドまで動かすボールを打つという練習。皆、「勝ちたい、触らせたくない」と強いボールをサイドアウトする勢いで打ち続けます。練習だから相手は返球しようと追いかけるでしょうが、試合なら見送ってアウトですよね。ここは「アウトせず、相手に触らせる。どういう動きをするのか、どこにどういう返球が返ってくるのか」を確認する事が重要だと考えます。

tennis

コーチがその練習メニューを設定した意図を参加者が理解できていない、このような事例がテニススクールのレッスンでの日常だと思います。正しく理解し、言われる通りに正しく再現できなければその練習は意図通りの効果を生まない。自分で自分の上達機会を損なっている状態ですよね。